ねえ、しってる? まんげつのよるには、はんざいがおおくおきるんですって







作:
河童(#)


演出:
竹田慎矢


キャスト

佐伯 心:
笹田典江

斉藤 澪:
宮越奈穂美

深山寛子:
中川真理子



スタッフ

制作:
ROSSO

音響:
平田笑美香

照明:
森友美

小道具:
平田笑美香



高校の時から仲良しだった心、澪、寛子。
3人の女友達の絆は、
心の離婚を切っ掛けに、歪み始めていた…。
女の友情や愛情や憎しみ悲しみが、
満月の夜に交差していく……。





***




前回の幻像団では有り得なかったライトでポップな芝居の後、
みんなが言ったこと。

「次は重い劇がやりたいね!」

流石に2作連続で軽いものをやると、ちょっとメリハリがないねーと話していたげんぞ一同。
そこで目に付けたのが、 過去に金沢と福井で2回公演された、
#64の名作、「月夜の殺意」

元々はしつれん記念日の頃からやってみないかという話が出ていたものの、
見合わせつづけていた台本でもあった。
「それでも〜」でてんぐ氏が入団したものの、圧倒的に男手は足りない。
だが、月殺ならば女優3人で立つ事が出来るじゃないか、というのも利点だった。

「よし、やろう!!」

決意したら行動はそれなりに早いげんぞである。
まずは誰がどの役をやるのかを決めることに。
スタッフはイタクラが照明、えみみちゃんが音響と迅速に決定したものの、
役を同じくぽいと投げ渡せる訳もなく。

当初の予想は、大半の方の予想と同じく、
心:なみさん、澪:ROSSOさん、寛子:ぽぴだった。
しかしここで大きな問題が。
ROSSOさんが、澪の心情にはどうしても入りこめなかったのだ。
だからと言って澪と寛子を入れかえると、今度は澪が心に立ち向かえなくなる上に、
寛子が澪をとことん追い詰める立場となってしまった。
だがぽぴに心を任せるのはいま少しパンチが足りず……。
様々に試した結果、
心:ROSSOさん、澪:なみさん、寛子:ぽぴ、
という組み合わせが一番しっくりしたのだ。

さて、最後に演出なのだが、
前回の教訓から女優3人は舞台に集中する為、
めだかさんかてんぐ氏に演出をやってもらうことになった。
しかし相変わらずめだかさんは忙しくて例会参加もままならない。

結果、入団2作目にして、てんぐ氏が初演出と相成った。

何とも豪気である。



そうして演出が役者達にあれこれと小突かれつつ、
練習は始まったのである―――









――――が。










練習は始まったものの、ここで大激論が勃発した。



過去2回の公演で、この劇の評価は概ね二つに分かれたと聞いている。

「心の心情が理解できる」 或いは、「心の心情が理解できない」

大抵前者が女性、後者が男性の意見だったようだ。

困ったことにげんぞ内でも意見が真っ二つになった
男性陣は澪肯定派、女性陣は概ねが心肯定派となってしまったのだ。
理由は実に単純で、
心の抱く女性的な憎悪と冷酷さが
男性には理解し辛かったのが大きな原因だった。


これはいけない。

普通は付き合いを止めるだろ、という意見は間違っていない。
だが、心はこんな行動に出るくらい傷ついたし、
苦しかったんだろうという事を理解してもらわなければ、
前回と同じ評価を受けることになる。
それでは、 別劇団でやる意味はほぼ無い。
ただ劇団員が満足する為に、舞台に立つ訳ではないのだから。


やるからには男性にも女心を理解してもらえるものを作ろう!!


これが合言葉となった。

その為にすべき事は、演技である。

まずは、心。
冷静に澪を追い詰める心を崩さずにおきたいが、
男性には綻びが見えないと理解され難い。
僅かな動揺や言葉の揺れで心の複雑な心境を現すことにした。

心同様、寛子もまた、難しい役柄である。
寛子が澪を責め過ぎると、心と寛子がタッグを組んで澪を攻撃してしまう。
最終的に心の味方である寛子だが、
それを最初から前面に出してはいけないし、
何よりこの台本の強みである、それぞれに秘められた感情を現すのが弱くなる。
寛子は無邪気に、だが決して友人の仮面を外す事無く、最後まで進む事になった。

そして、澪。
友達の夫を奪い、それでも友達を続けたいと望む強かさ。
大切な人を奪ったことで恨まれているのでは、
再びいなくなってしまうのではないかと怯える弱さ。
そのどちらが強くても、弱くてもいけない。
3人の中で一番女性らしく、強く、弱いのが澪である。
その絶妙なバランスを取り続けなければならない。

方向が決定し、練習はやっと本格的に進むことになったのである。







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が。